神奈川県令和3年「社会福祉」の解説をしています。

今回は問3です。
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問3 子育て支援
次の文は、子育て支援に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 「子ども・子育て支援法」では、市町村は、基本指針に即して5年を一期とする「市町村子ども・子育て支援事業計画」を定めるものとしている。
B ファミリー・サポート・センター事業は、児童家庭支援センターが実施主体である。
C 放課後等デイサービスは、幼稚園に在園している障害児も対象としている。
D 子育て短期支援事業は、保護者の疾病等の事由により家庭での養育が困難な場合に、一時的に子どもを保護する事業で、実施主体は市町村である。

(組み合わせ)
 ABCD
1〇〇〇×
2〇×〇×
3〇××〇
4×〇×〇
5××〇〇

子育て支援ですから「子ども家庭福祉」の内容ですね。
「社会福祉」でも1問程度このような子育て支援の問題が出題される傾向にあります。
すでに「子ども家庭福祉」を合格済みであっても、子育て支援に関する内容は復習しておきたいです。

1つずつ確認します。


A 「子ども・子育て支援法」では、市町村は、基本指針に即して5年を一期とする「市町村子ども・子育て支援事業計画」を定めるものとしている。

→◯
これは「子ども・子育て支援法」第61条の内容です。
市町村は、基本指針に即して、五年を一期とする教育・保育及び地域子ども・子育て支援事業の提供体制の確保その他この法律に基づく業務の円滑な実施に関する計画(以下「市町村子ども・子育て支援事業計画」という。)を定めるものとする。」
 

このように、子ども・子育て支援事業計画は「子ども・子育て支援法」に定められています。
子ども・子育て支援事業計画の根拠法は何かということは令和元年後期に出題がありました。

そして子ども・子育て支援事業計画には、市町村子ども・子育て支援事業計画都道府県子ども・子育て支援事業支援計画があります。
「子ども・子育て支援法」第61条では市町村子ども・子育て支援事業計画、第62条では都道府県子ども・子育て支援事業支援計画を定めています。

社会福祉では◯◯計画の根拠法がよく問われますので、言い回しを含めて確実に覚えます。

根拠法

都道府県

市町村

言い回し

社会福祉法

都道府県地域福祉支援計画

市町村地域福祉計画

努めるものとする(努力義務)

障害者総合支援法

都道府県障害福祉計画

市町村障害福祉計画

定めるものとする

児童福祉法

都道府県障害児福祉計画

市町村障害児福祉計画

定めるものとする

次世代育成支援対策推進法

都道府県行動計画

市町村行動計画

策定することができる

介護保険法

都道府県介護保険事業支援計画

市町村介護保険事業計画

定めるものとする

子ども・子育て支援法

都道府県子ども・子育て支援事業支援計画

市町村子ども・子育て支援事業計画

定めるものとする




B ファミリー・サポート・センター事業は、児童家庭支援センターが実施主体である。

→×
実施主体は児童家庭支援センターではなく市町村です。

実施要綱「子育て援助活動支援事業(ファミリー・サポート・センター事業)実施要綱」によると、実施主体は市町村(特別区及び一部事務組合を含む。)としています。

ファミリーサポートセンター事業とは、地域において子育ての援助を受けたい人と援助を行いたい人が助け合っていく仕組みですね。
通称ファミサポと呼ばれるもので、お子様のいらっしゃるかたは実際に依頼されたことがあるかもしれません。
「児童福祉法」を根拠法としており、法律上はファミリーサポートセンター事業ではなく「子育て援助活動支援事業」という名称で規定されています。
どちらの名称でも出題されているため、同じものであることをおさえます。


実施要綱から10問のテストを作っていますのでこちらもご確認ください。



C 放課後等デイサービスは、幼稚園に在園している障害児も対象としている。

→×
幼稚園に在籍している障害児は対象外であることが、「児童福祉法」第6条の2の2第4項に規定されています。
「この法律で、放課後等デイサービスとは、学校教育法第一条に規定する学校(幼稚園及び大学を除く。)に就学している障害児につき、授業の終了後又は休業日に児童発達支援センターその他の厚生労働省令で定める施設に通わせ、生活能力の向上のために必要な訓練、社会との交流の促進その他の便宜を供与することをいう。」

放課後等デイサービスは、「児童福祉法」に規定された障害児通所支援の5種類のうちの1つですね。(児童発達支援、医療型児童発達支援、放課後等デイサービス、居宅訪問型児童発達支援、保育所等訪問支援)



D 子育て短期支援事業は、保護者の疾病等の事由により家庭での養育が困難な場合に、一時的に子どもを保護する事業で、実施主体は市町村である。

→〇

子育て短期支援事業は「児童福祉法」に定められており、具体的な内容は子育て短期支援事業実施要綱に定められています。
実施要綱によると、目的は、保護者の疾病その他の理由により家庭において児童を養育することが一時的に困難となった場合及び経済的な理由により緊急一時的に母子を保護することが必要な場合等に、児童養護施設その他の保護を適切に行うことができる施設又は里親、保護を適切に行うことができる者として市町村長が適当と認めた者その他の保護を適切に行うことができる者において一定期間、養育・保護を行うことにより、これらの児童及びその家庭の福祉の向上を図ることであり、実施主体は、市町村(特別区及び一部事務組合を含む。)としています。

これによると、問題文の「保護者の疾病等の事由により家庭での養育が困難な場合」以外にも「経済的な理由により緊急一時的に母子を保護することが必要な場合等」がありますね。
問題文に「のみ」と限定していませんので、これは事実が書かれていると考えて◯でよいのではないでしょうか。

子育て短期支援事業について参考として平成30年後期「社会的養護」の出題を紹介します。
こちらの記事で問題解説をしていますのでご確認ください。


次回は問4を確認します。