「子ども家庭福祉」の対策を進めています。
今回は放課後児童健全育成事業を取り上げます。
 
放課後児童健全育成事業とは「児童福祉法」第6条の3第2項で次のように定められています。
「この法律で、放課後児童健全育成事業とは、小学校に就学している児童であつて、その保護者が労働等により昼間家庭にいないものに、授業の終了後に児童厚生施設等の施設を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図る事業をいう。」
 
「小学校に就学している児童であって、その保護者が労働等により昼間家庭にいないもの」が対象ですね。

よく出題されている事業であり、保育士試験対策として何を覚えていけばよいかというポイントを過去問から学んでいきます。
今回は令和3年後期「子ども家庭福祉」問7、令和3年前期「子ども家庭福祉」問3を紹介しながら学習ポイントを確認します。




令和3年後期「子ども家庭福祉」問7
次のうち、市町村が主体となって行う事業に該当するものを○、該当しないものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 企業主導型保育事業
B 一時預かり事業
C 放課後児童健全育成事業

(組み合わせ)  
   A B C
1 ○ ○ ○
2 ○ ○ ×
3 ○ × ○
4 × ○ ○
5 × × ○

この問題はすでにこちらで解説済みですので、放課後児童健全育成事業のみを取り上げます。
放課後児童健全育成事業を含む「児童福祉法」第21条の9に定められた「子育て支援事業」は、市町村が実施主体です。

第21条の9
市町村は、児童の健全な育成に資するため、その区域内において、放課後児童健全育成事業子育て短期支援事業乳児家庭全戸訪問事業養育支援訪問事業地域子育て支援拠点事業一時預かり事業病児保育事業及び子育て援助活動支援事業並びに次に掲げる事業であつて主務省令で定めるもの(以下「子育て支援事業」という。)が着実に実施されるよう、必要な措置の実施に努めなければならない
一 児童及びその保護者又はその他の者の居宅において保護者の児童の養育を支援する事業
二 保育所その他の施設において保護者の児童の養育を支援する事業 
三 地域の児童の養育に関する各般の問題につき、保護者からの相談に応じ、必要な情報の提供及び助言を行う事業」

条文の赤字の事業はよく出題されていますね。
これらは市町村が実施主体であることをおさえます。

令和3年前期「子ども家庭福祉」問3
次の文のうち、放課後児童対策に関する記述として適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 「放課後児童健全育成事業」とは、小学校に就学している児童であって、保護者が労働等により昼間家庭にいないものに、授業の終了後に児童厚生施設等の施設を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図る事業をいう。
B 2014(平成 26)年に、文部科学省と厚生労働省が共同で「放課後子ども総合プラン」を策定した。
C 「新・放課後子ども総合プラン」では、放課後児童クラブと保育所を一体的に、または連携して実施することを目指している。

(組み合わせ)  
     A B C
1 ○ ○ ○
2 ○ ○ ×
3 ○ × ○
4 × ○ ×
5 × × ○

Aでは放課後児童健全育成事業の定義、B、Cでは放課後児童健全育成事業と関連した放課後児童対策のプランが問われました。

A 「放課後児童健全育成事業」とは、小学校に就学している児童であって、保護者が労働等により昼間家庭にいないものに、授業の終了後に児童厚生施設等の施設を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図る事業をいう。

→〇
「児童福祉法」第6条の3第2項の条文通りですね。
「小学校に就学している児童であって、その保護者が労働等により昼間家庭にいないもの」という対象児童をおさえます。


B 2014(平成 26)年に、文部科学省と厚生労働省が共同で「放課後子ども総合プラン」を策定した。

→〇
「放課後子ども総合プラン」の策定(厚生労働省)によると、2014年に、「いわゆる「小1の壁」を打破し、次代を担う人材を育成するため、厚生労働省と文部科学省が共同して「放課後子ども総合プラン」を策定したことが述べられています。
この「放課後子ども総合プラン」とは、全ての児童が放課後等を安全・安心に過ごし、多様な体験・活動を行うことができるよう、一体型を中心とした放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)放課後子供教室(放課後等にすべての児童を対象として学習や体験・交流活動などを行う事業)の計画的な整備等を進めることです。

放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)と放課後子供教室は一体的に、または連携して実施することを目指しています。
全ての児童の安全・安心な居場所を確保するため、放課後児童健全育成事業と放課後子ども教室を同一の小学校内等で両事業を実施し、共働き家庭等の児童を含めた全ての児童が放課後子供教室の活動プログラムに参加できるように、一体的にまたは連携して実施することを目指しています。


C 「新・放課後子ども総合プラン」では、放課後児童クラブと保育所を一体的に、または連携して実施することを目指している。

→×
このような目標はありません。
放課後児童クラブと保育所ではなく、「放課後児童クラブと放課後子ども教室」ですね。
「放課後子ども総合プラン」同様に、「新・放課後子ども総合プラン」においても、すべての児童の安全・安心な居場所を確保するために、一体型を中心とした放課後児童クラブ及び放課後子供教室の計画的な整備等の実施を目標としています。

「新・放課後子ども総合プラン」とは、「新・放課後子ども総合プラン」の策定について(厚生労働省)によると、2014年に策定した「放課後子ども総合プラン」の進捗状況や、児童福祉や教育分野における施策の動向も踏まえ、放課後児童対策の取組をさらに推進させるため、2018年に、2019年度から向こう5年間を対象とする新たな放課後児童対策のプランをとりまとめたものです。


次回も放課後児童健全育成事業の過去問を確認します。