令和3年後期「社会福祉」の解説をしています。
今回は問10です。



問10 社会保険制度
次の文のうち、社会保険制度に関する記述として、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 通勤により負傷した場合は、労働者災害補償保険における保険給付の対象とならない。
B 業務上の事由により死亡した場合は、労働者災害補償保険における保険給付の対象となる。
C 育児休業給付金は、国民健康保険における保険給付である。
D 介護休業給付金は、雇用保険における保険給付である。

(組み合わせ)
   A B C D
1 ○ ○ × ×
2 ○ × ○ ×
3 × ○ × ○
4 × × ○ ○
5 × × × ○

A、Bの労災保険の〇×がわかるだけで答えを選ぶことができる問題でした。
Aは×、Bは〇ですから答えは3ですね。
労災保険について最近は出題がなかったように思いますが、基本的な内容が出題されたことから、この分野の出題が難しくなっていないとわかって安心しました。

過去問はこちらにまとめており、これを見ると例えば労災の細かな認定基準など深いところまでは出題されていません。
つまり専門性が高い内容は出されないと言えます。
労災だけでなく社会保険全体としても基本をしっかりと学習することが大切であり、学習範囲を見極める(=範囲を超えた勉強をしない)ことが重要だと感じます。 

では問10を確認します。 
まず、AとBについてです。
労災保険とは(厚生労働省)によると「労災保険とは、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷・疾病・障害又は死亡に対して労働者やその遺族のために、必要な保険給付を行う制度です。また、労災保険においては保険給付のほかに、労働福祉事業を行っています。」と説明されています。

※「業務上の事由」業務が原因となったということであり、業務とその負傷等の間に因果関係があることです。
※「通勤」自宅と仕事場との間の往復や、仕事場から他の仕事場への移動などです。

このことより、A「通勤により負傷」B「業務上の事由により死亡」はどちらも労災保険の保険給付の対象となります。

労災保険制度についてのミニテストもご活用ください。
 


次に、CとDについてです。
こちらはどちらも「雇用保険法」にもとづく雇用保険における保険給付ですから、Cは×、Dは〇です。
育児休業給付金も介護休業給付金も労働者に対する手当であることを理解していれば、雇用保険における保険給付だとわかります。
育児休業給付金は育児休業中の労働者に対して給料をもらっていない間に支給される手当です。
介護休業給付金は労働者が介護休業を終えてから支給される手当です。

雇用保険制度の概要(ハローワーク)で示されているこちらの図表は頭に入れておきたいですね。
雇用保険
CとDについて、関連問題を紹介します。

育児休業の際に支給される育児休業給付金は、「健康保険法」に定められている。(平成28年後期)
→×「健康保険法」ではなく「雇用保険法」ですね。

育児休業給付および介護休業給付は、雇用保険制度によって支給される。(平成26年再)
→〇上の図表にありますように、育児休業給付、介護休業給付はどちらも雇用保険制によって支給されます。

雇用保険制度についてのミニテストもご活用ください。


次回は問11の解説です。