令和3年後期「社会福祉」の解説をしています。
今回は問16です。


問16 福祉サービス等の情報提供
次の文のうち、福祉サービス等の情報提供に関する記述として、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 「社会福祉法」においては、福祉サービスの情報の提供に関することが定められている。
B 「民生委員法」においては、援助を必要とする者が福祉サービスを適切に利用するために必要な情報の提供その他の援助を行うことが定められている。
C 「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」においては、視聴覚障害者に対する情報提供の施設として、視聴覚障害者情報提供施設が定められている。
D 「介護保険法」においては、介護サービス情報の報告及び公表に関することが定められている。

(組み合わせ) 
  A B C D
1 ○ ○ ○ ×
2 ○ ○ × ○
3 ○ × ○ ○
4 × ○ × ○
5 × × ○ ×

それぞれの法律の規定が問われました。
A、Bについてはこれまでの学習から〇と判断できますね。

Cについては、文章内にある「視聴覚障害者情報提供施設」に注目します。
これは「障害者総合支援法(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)」を理解していれば悩むことなく判断できます。

「障害者総合支援法」とは、障害福祉サービスに関する給付制度・地域生活支援事業等を充実させ、障害者及び障害児の福祉の増進を図ることを目的とした法律です。
この法律を根拠法とした施設としては、例えば、障害者支援施設(障害者につき、施設入所支援を行うとともに、施設入所支援以外の施設障害福祉サービスを行う施設)や地域活動支援センター(障害者等の通所施設)があり、この2つは過去問にも出てきました。
しかしこの法律では、視覚障害や聴覚障害などの障害種別による施設は定められていません。
例えば、身体障害者の福祉の増進を図るための内容、身体障害者に関する施設は「身体障害者福祉法」に定められていることがポイントです。
よって、このCで出てきた「視聴覚障害者情報提供施設」は視覚障害や聴覚障害について定めている「身体障害者福祉法」に規定されている施設となります。

Dは学習していない内容かと思われますが、AとBが〇、Cが×とわかれば答えの2を選ぶことができます。

一つずつみていきます。

A 「社会福祉法」においては、福祉サービスの情報の提供に関することが定められている。 

→〇
情報提供は「社会福祉法」第75条の規定です。
「社会福祉事業の経営者は、福祉サービスを利用しようとする者が、適切かつ円滑にこれを利用することができるように、その経営する社会福祉事業に関し情報の提供を行うよう努めなければならない。
2 国及び地方公共団体は、福祉サービスを利用しようとする者が必要な情報を容易に得られるように、必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」



B 「民生委員法」においては、援助を必要とする者が福祉サービスを適切に利用するために必要な情報の提供その他の援助を行うことが定められている。 

→〇
これは「民生委員法」第14条第1項(民生委員の職務)の1つです。 
「民生委員の職務は、次のとおりとする。
一 住民の生活状態を必要に応じ適切に把握しておくこと。
二 援助を必要とする者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように生活に関する相談に応じ、助言その他の援助を行うこと。
三 援助を必要とする者が福祉サービスを適切に利用するために必要な情報の提供その他の援助を行うこと
四 社会福祉を目的とする事業を経営する者又は社会福祉に関する活動を行う者と密接に連携し、その事業又は活動を支援すること。
五 社会福祉法に定める福祉に関する事務所その他の関係行政機関の業務に協力すること。」

今回の試験では問9に「児童委員の職務」が出題されました。
次の試験で「民生委員の職務」が出題されても答えられるように準備しておきたいですね。



C 「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」においては、視聴覚障害者に対する情報提供の施設として、視聴覚障害者情報提供施設が定められている。

→×
身体障害者福祉法」第34条に定められています。
「視聴覚障害者情報提供施設は、無料又は低額な料金で、点字刊行物、視覚障害者用の録音物、聴覚障害者用の録画物その他各種情報を記録した物であつて専ら視聴覚障害者が利用するものを製作し、若しくはこれらを視聴覚障害者の利用に供し、又は点訳(文字を点字に訳すことをいう。)若しくは手話通訳等を行う者の養成若しくは派遣その他の厚生労働省令で定める便宜を供与する施設とする


また、「身体障害者福祉法」では、身体障害者福祉センター、補装具製作施設、盲導犬訓練施設、視聴覚障害者情報提供施設をあわせて、「身体障害者社会参加支援施設」と呼ぶことが定められています。



D 「介護保険法」においては、介護サービス情報の報告及び公表に関することが定められている。

→〇
「介護保険法」第115条の35に定められています。
このような規定があることをこの機会に覚えておきたいですね。


次の問17については先に解説済みです。


次回は問18の解説です。
明日はお休み予定です。