今回より令和4年前期「社会福祉」の解説を行います。
今回は問1です。

問題はこちら




問1 社会福祉の法律
次のうち、第二次世界大戦後につくられた日本の社会福祉の法律として、正しいものを一つ選びなさい。

1 救護法
2 健康保険法
3 母子保護法
4 児童福祉法
5 少年教護法

戦後に制定された法律を1つ選ぶという問題でした。
保育士試験の学習では、「児童福祉法」は1947年に制定された、日本国憲法の理念に基づく法律であることがよく出てきますから、年号は確実に頭に入っている知識だと思います。
よって答えは4の「児童福祉法」です。

「児童福祉法」制定の理由は、親を亡くした多くの戦争孤児の健やかな成長と最低限度の生活を保障するためです。
このような背景を知っていると、「児童福祉法」がいつ制定されたか覚えやすいです。

戦後、日本国憲法の交付後まもなく制定された「福祉3法」はまとめて覚えます。
生活保護法1946年制定 ※全面改正で1950年制定
児童福祉法1947年制定
身体障害者福祉法1949年

また、問題の他の4つは戦前に制定された法律ということになります。
戦前の法律はあまり出題されていないため、ブログテストにもほとんど取り入れていません。
保育士試験出題範囲」を確認しても、「社会福祉に関する法律、手続き及び歴史的変遷の部分からは、歴史的に古いもの又は現在の制度体系と関連のないものは出題しない。」と書かれていますので、内容面までの出題はほとんどないと言えます。
ただ今回の問題を見て、もしこれが並び替え問題だったら少し難しいなと思いました。
これを機に念のため年号まで知っておくとよいですね。

1 救護法
1929(昭和4)年制定
「生活保護法」の前身であるもので、貧困や疾病などにより生活ができない者を救護する法律です。

2 健康保険法
1922年(大正11)年制定
会社に雇用されている者を対象とした健康保険制度を定めています。

3 母子保護法
1937(昭和12)年制定
配偶者がおらず、13 歳以下の子どもをもつ母が貧困のために生活不能である場合、また養育不能となった場合に、市町村が生活を扶助する制度を定めています。

5 少年救護法
1933(昭和8)年制定
それまでの「感化法」に代わって制定されたもので、14歳未満の少年に対する教育的保護や、「感化院」→「少年教護院」への改称などが定められています。
「児童福祉法」の制定により廃止され、「児童福祉法」にて「少年救護院」→「救護院」へと改称されました。


※4について、「母子~」がつく法律はいくつかありますので、混乱しないように注意します。
母子保健法1965(昭和40)年制定
母性および乳幼児の健康の保持と増進を図ることを目的とする法律です。
それまで「児童福祉法」において児童と妊産婦を対象に保健施策が実施されていましたが、「母子保健法」制定により、乳幼児の保健を「児童福祉法」から切り離し、母性と一体化した母子保健を実施することとなりました。

母子福祉法1964(昭和39)年制定
母子家庭の福祉を図ることを目的とした法律です。
1981年「母子及び寡婦福祉法」、2014年「母子及び父子並びに寡婦福祉法」と改称されています。


次回は問2を確認します。