(2022.7.28更新)
令和4年前期「教育原理」の解説を行います。
今回は問6です。
問題はこちら




問6 小学校学習指導要領
次の文は、「小学校学習指導要領」(平成29 年告示)に示された「教育課程の編成」の一部である。( A )~( C )にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

低学年における教育全体において、例えば( A )において育成する自立し生活を豊かにしていくための資質・能力が、他教科等の学習においても生かされるようにするなど、教科等間の関連を積極的に図り、( B )及び中学年以降の教育との円滑な接続が図られるよう工夫すること。特に、小学校入学当初においては、幼児期において自発的な活動としての( C )を通して育まれてきたことが、各教科等における学習に円滑に接続されるよう、( A )を中心に、合科的・関連的な指導や弾力的な時間割の設定など、指導の工夫や指導計画の作成を行うこと。
【語群】
ア 総合的な学習の時間  イ 生活科   ウ 幼児期の教育  
エ スタートプログラム  オ 自然体験  カ 遊び
(組み合わせ)
  A B C
1 ア ウ オ
2 ア ウ カ
3 ア エ オ
4 イ ウ カ
5 イ エ カ

小学校学習指導要領からの出題は久しぶりです。
その前は平成29年前期・平成28年前期に出題されていました。
これらは改訂前の平成20年の学習指導要領から出題されていますが、どのような問題であるかはこちらからご確認ください。


さて、今回の問6は、平成29年3月の改訂後初めて出題となります。(※神奈川県では昨年の令和3年試験に出題されました)
平成29年改訂で新設された「学校段階等間の接続」について述べられており、内容は幼児期から小学校低学年に向けた接続についてです。
この部分を知らなくても、国語力やこれまでの学習で答えることができるかもしれません。

答えは4です。
「小学校学習指導要領」21ページ  「第1章 総則」の「第2 教育課程の編成」の「4 学校段階等間の接続」
「低学年における教育全体において,例えば(A 生活科)において育成する自立し生活を豊かにしていくための資質・能力が,他教科等の学習においても生かされるようにするなど,教科等間の関連を積極的に図り,(B 幼児期の教育)及び中学年以降の教育との円滑な接続が図られるよう工夫すること。特に,小学校入学当初においては,幼児期において自発的な活動としての(C 遊び)を通して育まれてきたことが,各教科等における学習に円滑に接続されるよう,(A生活科)を中心に,合科的・関連的な指導や弾力的な時間割の設定など,指導の工夫や指導計画の作成を行うこと。」

【考え方】
Aについて 
Aの前に「低学年における教育」、Aの後に「他教科等の学習においても」という記述がありますから、小学校低学年の時期に学習する教科であることがわかります。
【語群】にある教科は「生活科」と「総合的な学習の時間」の2つです。
低学年の1・2年生を対象としたものは「生活科」で、「総合的な学習の時間」とは3年生から始まるものですから「生活科」を選ぶことができます。
生活科とは平成元年の学習指導要領改訂で小学校低学年に新設された教科であり、簡単に言うと理科と社会を統合したものです。
中学年以降の教科である、理科、社会、総合的な学習とも関わってきます。

Bについて
Bの後に「~及び中学年以降の教育との円滑な接続」と書かれていますので、小学校低学年の前後の教育との接続を説明していると読み取れます。
そうすると、Bには小学校低学年より前の「幼児期の教育」が入ると判断できます。

Cについて
Bでは幼児期と小学校低学年の接続が書いてあり、Cの前に「幼児期において自発的な活動としての」とありますから、「遊び」が入ると判断できます。
これまでの学習で、幼児期は遊びを通して学びが積み重ねられたり、総合的に発達していったりすることを学びました。
「幼稚園教育要領」でも「家庭との緊密な連携の下,小学校以降の教育や生涯にわたる学習とのつながりを見通しながら,幼児の自発的な活動としての遊びを通しての総合的な指導をする際に広く活用されるものとなることを期待して,ここに幼稚園教育要領を定める。」と述べられています。

さて、「小学校学習指導要領」は出題可能性が低いので、あまり時間をかけたくないところです。
よって、過去の出題傾向をもとに、効率的に学習していくことをおすすめします。

平成29年前期・平成28年前期は「生活科」や「総合的な学習の時間」が出題されました。
令和3年神奈川県試験では、第3章「特別の教科 道徳」から出題されました。
これまでの傾向から、国語や算数などよりも、生活科、総合的な学習の時間、道徳などの方が出題されやすいということがわかります。
今回出題された第1章の総則とあわせて、これらの科目を優先的に読んでいきたいですね。
また、平成20年と平成29年の違いは比較対照表で確認できますので、ここも確認しながら学習を進めていきたいです。

次回は問7を確認します。