令和5年前期試験に向けた「社会的養護」学習事項をまとめます。
「社会的養護」は何を勉強したらよいかがわかりにくい科目の1つと言えます。
どのような学習事項があるか、何を勉強すればよいのかをしっかりと認識することで、合格に近づくと考えられます。
読んでおきたい資料が多い科目ですから、学習の抜けや漏れのないように進めていきたいですね。

まずはどのような問題が出題されているかを紹介します。
「社会的養護」は大きくわけて ①施設養護 ②家庭養護 ③児童相談所 ④自立支援  ⑤社会的養護全般 となります。
それぞれの分野について学習事項を紹介します。




1.施設養護

この分野からは、(1)施設養護の機能(2)各児童福祉施設の概要(3)施設の職員配置(4)入所児童等調査結果(5)各種運営指針(6)事例問題などが出題されます。

(1)施設養護の機能
平成28年「児童福祉法」改正では、子どもが権利の主体であることを明確にし、家庭への養育支援から代替養育までの社会的養育の充実、家庭養育優先の理念を規定しました。
また、実親による養育が困難であれば、特別養子縁組による永続的解決(パーマネンシー保障)や里親による養育を推進することを明確にしました。
このように家庭養育を優先させるという原則になったとはいえ、施設の役割・機能を縮小させていこうとはしていません。
施設の高機能化及び多機能化・機能転換、小規模かつ地域分散化を図るとされています。
「乳児院・児童養護施設の高機能化及び多機能化・機能転換、小規模 かつ地域分散化の進め方」(平成30年)を読んで、施設の役割や機能を理解しておくことも大切です。

(2)各児童福祉施設の概要
・「児童福祉法
児童福祉施設の定義を確認します。
主な出題は2~9ページの「社会的養護の現状」からです。
対象児童や数字(施設数や現員)などもおさえます。
余裕があれば243ページからの各種統計もみておきたいです。

(3)施設の職員配置
「社会的養護」の科目では保育所や幼保連携型認定こども園は出されません。
職員について出題されやすいのは、社会的養護関係施設に配置される職員と里親に関連した職員です。
つまり、児童養護施設、乳児院、児童心理治療施設、児童自立支援施設、母子生活支援施設について優先的に覚えます。
また、里親支援専門相談員家庭支援専門相談員は出されやすいため、配置施設や業務内容を言えるように準備しておきます。

 (4)入所児童等調査結果
児童養護施設入所児童等調査結果
定番の出題であり、令和4年前期(問2)、令和4年後期(問3)でも出題されています。
1問は出ると考えて、平均在所期間、入所経路、児童の虐待経験の有無などの基本をしっかりとおさえます。

(5)各種運営指針
施設の運営指針は6種類あります。
このうち「児童養護施設運営指針」が最も出題されやすく、令和4年後期(問7)にも出題されました。
運営指針はこちらのブログ記事にまとめています。

(6)事例問題
1、2問程度、事例問題が出題されています。
内容は主に児童養護施設や乳児院などの社会的養護関係施設における一場面です。
ある程度の知識や常識で選択肢を消去することができます。
判断に迷う時は、他のものと大きく違うもの(仲間外れ)を見つけるようにするとよいですね。

2.家庭養護

この分野からは、(1)里親・ファミリーホーム (2)特別養子縁組(3)フォスタリング などが出題されます。
家庭養護に関する取り組みが増えてきたことで、保育士試験でも家庭養護に関する問題が出題されていますが、まだまだ施設養護に関した問題の方が出題されやすいです。
家庭養護からは10問中、1、2問程度の出題です。
まずは施設養護に関する分野を確実におさえ、そして1問でも多くとるために家庭養護についても理解しておきたいですね。

(1)里親・ファミリーホーム
里親制度(資料集)(令和3年10月)
里親制度運営要綱 
里親委託ガイドライン(令和3年3月改正)
里親制度の問題は1問程度出題されますから、里親の種類、登録(認定)の要件、登録の流れなどをこれらの資料で広くおさえます。

里親及びファミリーホーム養育指針
「里親及びファミリーホーム養育指針」は令和3年後期、令和4年前期、令和4年後期と続けて出題されています。
しっかりと読み込んでおきます。
よく読んでおきたい部分については、こちらのブログ記事も参考にされてください。

小規模住居型児童養育事業(ファリーホーム)実施要綱
小規模住居型児童養育事業(ファミリーホーム)も出されやすいので、実施要綱で基本事項を確認します。

(2)特別養子縁組
社会的養育推進に向けて(令和4年3月)p213~236
養子縁組に関した内容となっていますので、よく読んでおきたいですね。
特に、p217の「民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律(概要)」では、平成28年に成立した民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律」のポイントが紹介されていますので、太字や下線部分に注目しておさえます。

(3)フォスタリング
これらの資料をもとに、フォスタリング機関の業務、フォスタリング機関の定義、里親養育包括支援(フォスタリング)事業をおさえます。

社会的養育の推進に向けて(令和4年3月)
フォスタリング機関(里親養育包括支援機関)及びその業務に関するガイドラインの概要(32~33ページ)
里親養育包括支援( フォスタリング) 事業(88~94ページ)

3.児童相談所

児童相談所の概要
令和3年度児童虐待相談対応件数
最近は児童相談所に関して1問程度出題があります。
実施主体や業務、相談の種類、虐待相談対応件数など、この2つの資料をしっかりとおさえます。

児童相談所運営指針
一時保護ガイドライン
余裕があればこちらにも目を通しておきたいです。

4.自立支援

社会的養護自立支援事業実施要綱
身元保証人確保対策事業実施要綱(上の実施要綱の次にあります)
児童自立生活援助事業(自立援助ホーム)実施要綱
就学者自立生活援助事業

里親等への委託解除された者、児童養護施設等への施設入所措置を解除された者等に対する自立支援も出題されています。
目的や実施主体、対象者など各事業の概要をおさえます。

5.社会的養護全般

新しい社会的養育ビジョン
平成28年「児童福祉法」改正の理念を具体化したものが「新しい社会的養育ビジョン」です。
概要版の「意義」 「骨格」「実現に向けた工程」も読んでおきたいです。
1問程度出題されています。

児童福祉法等の一部を改正する法律(平成28年法律第63号)の概要
平成28年児童福祉法等の一部改正については根強く出題されていますので、改正内容を学習します。

・「児童虐待防止法
・第4条(国及び地方公共団体の責務等)
・第5条(児童虐待の早期発見等)
・第6条(児童虐待に係る通告)
※主に令和2年4月1日から施行されている、児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律の公布についても見ておくと良さそうです。

児童の権利に関する条約(リンクはブログの該当記事)
児童の代替的養護に関する指針
要保護児童対策地域協議会設置・運営指針(令和2年3月改正)
社会的養護関係施設における第三者評価及び自己評価の実施について


以上、社会的養護の学習事項をまとめました。
学習における漏れや抜けは確認できましたでしょうか?
どこを学習するかが明確になると勉強も進みやすいので、1つ1つの分野を丁寧に進めていきましょう!
頑張ってくださいね。