令和4年神奈川県試験を解説しています。
今回は「社会的養護」問8です。
試験問題


問8 自立援助ホーム
 
次の文は、「自立援助ホーム運営指針」(平成27年4月17日 厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)における、自立援助ホームの役割と理念に関する記述である。適切な記述を〇、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 自立援助ホームは、「児童福祉法」第6条の3に基づき、児童自立生活援助事業として位置づけられている。
B 自立援助ホームは、児童養護施設等を退所し就職する児童等に対し、相談その他の日常生活上の援助及び生活指導並びに就業の支援(援助の実施)を行う等により、社会的自立の促進に寄与することを目的とする。
C 自立援助ホームは、第一種社会福祉事業である。
D 自立援助ホームでは、受容的、支持的関わりを優先するのではなく、利用者の自立心が育まれる「しつけ」や「指導」を中心とした支援を行うことが大切である。

(組み合わせ)
 ABCD
1 〇〇〇×
2 〇〇××
3 ×〇××
4 ××〇〇
5 ××〇× 

運営指針、養育指針の中でも「自立援助ホーム運営指針」の出題は全国でも出たことがないので、初めてですね。
この問題については自立援助ホームの基本知識を集めたものですから、運営指針を読んでいなくても大丈夫でした。
前回記事でも解説していますように、定番の「児童養護施設運営指針」から他の運営指針、養育指針へと出題が変わってきていますので、この「自立援助ホーム運営指針」も読んでおきたいですね。

一つずつみていきます。

A 自立援助ホームは、「児童福祉法」第6条の3に基づき、児童自立生活援助事業として位置づけられている。

→〇
正しい記述です。(運営指針5ページ)
自立援助ホーム=児童自立生活援助事業ですね。
法律としては児童自立生活援助事業という名称であり、実際には自立援助ホームという名称で運営されています。
また根拠法は「児童福祉法」です。
「児童福祉法」第6条の3第1項「この法律で、児童自立生活援助事業とは、次に掲げる者に対しこれらの者が共同生活を営むべき住居における相談その他の日常生活上の援助及び生活指導並びに就業の支援(以下「児童自立生活援助」という。)を行い、あわせて児童自立生活援助の実施を解除された者に対し相談その他の援助を行う事業をいう。(略)」

「第6条の3」という部分は迷うかもしれませんが、この第〇条という部分が誤りであったことは、これまで問題解説をしている中で見たことがありません。
第〇条というところは正誤のポイントにはならないと考えてよさそうですね。

B 自立援助ホームは、児童養護施設等を退所し就職する児童等に対し、相談その他の日常生活上の援助及び生活指導並びに就業の支援(援助の実施)を行う等により、社会的自立の促進に寄与することを目的とする。

→〇
正しい記述です。
「児童自立生活援助事業は、児童の自立を図る観点から義務教育終了後、児童養護施設、児童自立支援施設等を退所し、就職する児童等に対し、これらの者が共同生活を営むべき住居(自立援助ホーム)において、 相談その他の日常生活上の援助及び生活指導並びに就業の支援(援助の実施) を行い、あわせて援助の実施を解除された者への相談その他の援助を行うことにより、社会的自立の促進に寄与することを目的とする。」(運営指針5ページ) 

Aの解説であげた「児童福祉法」第6条の3第1項は学習しているところなので、この条文を思い浮かべ考えたかたが多いと思います。
条文とは表現が異なるところもありますが、大きくずれていませんので〇と判断できますね。


C 自立援助ホームは、第一種社会福祉事業である。

→×
第二種社会福祉事業ですね。
問題文自体も少し微妙で、正しくは「自立援助ホームを経営する事業は、第二種社会福祉事業である。」ですね。
社会福祉事業については、社会的養護、社会福祉、子ども家庭福祉の福祉系3科目に共通して出題される分野です。
基本的に入所サービスの経営は第一種社会福祉事業、通所サービスの経営は第二種社会福祉事業となりますが、自立援助ホームについては第二種社会福祉事業に分類されることをおさえます。

入所施設を経営する事業なのに、なぜ第二種社会福祉事業になるのか、というところは「運営指針」5ページに説明されています。
「平成10年の児童福祉法改正の際に、全国自立援助ホーム連絡協議会(現、全国 自立援助ホーム協議会)は第二種社会福祉事業を選択したが、これは自立援助ホームに入居した児童だけではなく、退居した児童も含めた利用者一人ひとりのニーズに継続的に対応できる柔軟性や、福祉と近接する領域との制度の枠組みを超えた連携による支援を可能にするためである。」

第一種社会福祉事業は、主に利用者の保護を目的とした入所サービスですが、退居した児童も含めて継続的に支援していくため、第二種社会福祉事業として位置付けたということですね。


D 自立援助ホームでは、受容的、支持的関わりを優先するのではなく、利用者の自立心が育まれる「しつけ」や「指導」を中心とした支援を行うことが大切である

→×
「受容的、支持的関わり」と「「しつけ」や「指導」」が逆です。
「大切にされる経験が保障されなければ、人への信頼感を獲得し、成長していくこ とは難しい。したがって、自立援助ホームでは、「しつけ」や「指導」を優先するのではなく、利用者の自尊心が育まれる受容的、支持的関わりを中心とした支援を行うことが大切である。 」(運営指針5ページ)

「受容的、支持的な関わり」は、「児童養護施設運営指針」「母子生活支援施設運営指針」「情緒障害児短期治療施設運営指針」「児童自立支援施設運営指針」でも共通して出てくる表現です。
今後の試験でも出題される可能性がありますから、「受容的、支持的な関わり」は丸ごと覚えたいですね。 

令和4年後期試験は、「里親及びファミリーホーム養育指針」からの出題と予想していますが、全国試験でまだ出題のない「児童自立支援施設運営指針」や「自立援助ホーム運営指針」も読んでおくと安心ですね。
社会的養護は読んでおくべき資料がたくさんありますが、頑張ってください!

次回は問9を確認します。