令和4年神奈川県試験を解説しています。
今回は「社会的養護」問9です。
試験問題


問9 身元保証人確保対策事業実施要綱
 
次の文は、「社会的養護自立支援事業等の実施について」(令和3年6月7日 厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)における、「身元保証人確保対策事業実施要綱」の一部である。( A )~( D )にあてはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

身元保証人確保対策事業は、子どもや女性等(以下「子ども等」という。)の自立支援を図る観点から、児童養護施設や( A )に入所中又は退所した子ども等や、里親等に委託中又は委託解除後の子ども等に対し、就職やアパート等の賃借、大学等へ進学する際等に( B )等が身元保証人となった場合の( C )契約を全国社会福祉協議会が契約者として締結することにより、身元保証人を確保し、これらの者の( D )の促進に寄与することを目的とする。

(組み合わせ)
   A      B      C    D
1 母子生活支援施設 施設長    賃貸借  社会的自立
2 母子生活支援施設 都道府県知事 賃貸借  権利擁護
3 母子生活支援施設 施設長    損害保険 権利擁護
4 婦人保護施設   都道府県知事 賃貸借  権利擁護
5 婦人保護施設   施設長    損害保険 社会的自立

社会的養護自立支援事業等の実施についてという通知には、「社会的養護自立支援事業実施要綱」と「身元保証人確保対策事業実施要綱」という2つの事業の実施要綱が載っています。

社会的養護自立支援事業とは、里親等への委託や、児童養護施設等への施設入所措置を受けていた者で、18歳(措置延長の場合は 20 歳)到達により措置解除された者のうち、自立のための支援を継続して行うことが適当な場合には、原則 22 歳の年度末まで個々の状況に応じて引き続き必要な支援を受けることができるという事業です。
こちらについては学習されているかたも多いと思います。

一方、身元保証人確保対策事業とは、児童等が、就職やアパート等の賃借、大学等へ進学する際に支障が生じることのないようにした事業です。
児童等が退所したあとは施設長が身元保証人になること、その身元保証人についても一定以上の金銭は都道府県等が負担するという制度です。
こちらまで対策をされているかたは少ないと思います。
全国試験でもまだ出題がありません。
今回は事業の【目的】の穴埋めが出題されており、学習していなければ難しかったですね。

この事業は、施設等を利用または退所した子どもや女性の社会的自立を支援するものです。
施設等を利用または退所した子どもや女性は、保証人が得られにくく、進学、就職、アパートの賃借や入院が困難になる場合があります。
施設長等が保証人となった場合にこの事業を利用することで、保証人に損害賠償や債務弁済の義務が生じたときに賠償額のうち、都道府県等が一定額を支払うという制度です。
よって、施設長等が保証人を引き受ける場合のリスクを軽減することができます。
保証人が必要な場合に施設長等が保証人を引き受けやすくなりますので、子どもや女性の社会的自立の促進につながります。

(答え)
身元保証人確保対策事業は、子どもや女性等(以下「子ども等」という。)の自立支援を図る観点から、児童養護施設や( A 婦人保護施設 )に入所中又は退所した子ども等や、里親等に委託中又は委託解除後の子ども等に対し、就職やアパート等の賃借、大学等へ進学する際等に( B 施設長 )等が身元保証人となった場合の( C 損害保険 )契約を全国社会福祉協議会が契約者として締結することにより、身元保証人を確保し、これらの者の( D 社会的自立 )の促進に寄与することを目的とする。

【考え方】
Aについて
「子どもや女性等」を対象としていることから、Aには、母子生活支援施設でも婦人保護施設でもあてはまります。
社会的養護関係施設である母子生活支援施設を選びたくなりますが、この【目的】では「婦人保護施設」があげられていますので「婦人保護施設」が答えです。
この事業の対象となる施設等は、児童養護施設や母子生活支援施設等の社会的養護関係施設、婦人保護施設、里親、ファミリーホーム等となります。

Bについて
この事業の対象となる保証人である「施設長等」とは、児童養護施設等の施設長、婦人相談所の所長、措置(保護)をした児童相談所、里親、設置主体(又は経営主体) の代表者等となります。

Cについて
部屋の貸し借りである「賃貸借契約」をするのではなく、「損害保険契約」をします。
①就職時の身元保証  ②居住を目的とする住宅等賃借時の連帯保証  ③大学等入学時の身元保証 という3つの範囲を保証します。
たとえば、被保証人(=児童等)が大学、高等学校などの教育機関における就学に関し、学費の滞納などで教育機関に損害を与えた結果、身元保証人が被った損害に対して、限度額の範囲で保証金を支払うという制度です。

Dについて
保証人を確保しにくいと、就職やアパート等の賃借、大学等へ進学する際に支障が生じてしまいます。
この制度により保証人が確保しやすくなりますから、「社会的自立」の促進につながります。


社会的養護の科目では、要保護児童について里親や施設での養育に関した内容をメインに学習しますが、措置解除後も「社会的養護自立支援事業」や「身元保証人確保対策事業」といった自立に向けた支援があります。
このような取り組みが、今回の試験に出題されたことは素晴らしいなと感じました。

次回は問10を確認します。