今回は、ご質問をいただいた「子どもの保健」問17についての考察です。
正答が発表されていませんので、個人の考察ということで参考にされてください。




問17 発育に関する記述
次の文は、発育に関する記述である。適切な記述の組み合わせを一つ選びなさい。

A 出生時には頭囲は胸囲を上回るが、一般的には生後2歳には胸囲が頭囲よりはるかに大きくなる。
B 出生時の頭蓋骨は縫合部が閉鎖していないため、大泉門と小泉門が開いた状態であるが、大泉門は生後まもなく閉じる。
C 2歳未満の身長計測は仰臥位で行い、足蹠面(足のうらの面)を固定し、頭部に移動板を垂直に 当てて目盛りを読み取る。
D 妊娠中の母親の喫煙本数が多いと出生体重は軽くなるが、父親や同居人の喫煙と出生体重との間 にも同様の関連がみられる。
E 出生後に肺呼吸が開始されると、心臓・血管系に、卵円孔やボタロー静脈管の閉鎖などの解剖学的変化が認められる。

(組み合わせ)
1 A C
2 A D
3 B D
4 B E
5 C E 

問題を1つずつ見ていきます。

A 出生時には頭囲は胸囲を上回るが、一般的には生後2歳には胸囲が頭囲よりはるかに大きくなる。


→×
これは「はるかに」という部分がなければ〇です。
「はるかに」という言葉は「2つのものが遠く離れている」「差が大きく開いている」という意味を持ちますから、問題文は「頭囲と胸囲の差が大きい」という意味であるととらえます。
しかし、2歳の頭囲と胸囲は1cm未満の差ですので「はるかに」とは言えないと思います。
また、5、6歳では頭囲と胸囲の差が5㎝くらいになってきますので、「2歳」ではなく、たとえば「6歳」であれば〇でよいのかなと思います。

厚生労働省「乳幼児身体発育調査」(平成22年←古い年度ですがこれが最新版です)を確認します。

【出生時】
平均頭囲33.5cm(男児)33.1cm(女児)
平均胸囲31.6cm(男児)31.5cm(女児)
出生時は頭囲>胸囲ですので、文章前半は〇ですね。

【生後2歳0~6か月未満】
平均頭囲48.6cm(男児)47.5cm(女児)
平均胸囲49.4cm(男児)48.0cm(女児)
生後2歳では確かに胸囲が頭囲よりも大きくなっていますが、その差は0.8cm(男児)0.5㎝(女児)です。
これは「はるかに大きくなる」という表現ではなく「胸囲の方がやや大きくなる」「頭囲が胸囲よりも明らかに大きくなる」「胸囲の成長が大きくなる」などとしていればよかったのかなと思います。
1cm未満の差を「はるかに」と表現すると、出生時には頭囲が胸囲よりも1.5cm~2.0cmほど大きいので、前半の文章も「はるかに上回る」となってしまいますね。


B 出生時の頭蓋骨は縫合部が閉鎖していないため、大泉門と小泉門が開いた状態であるが、大泉門は生後まもなく閉じる。

→×
これは後半が誤りですね。
小泉門は生後まもなく閉じる」や「大泉門は1歳半頃に閉じる」が正しいです。

C 2歳未満の身長計測は仰臥位で行い、足蹠面(足のうらの面)を固定し、頭部に移動板を垂直に当てて目盛りを読み取る。

→×
足を固定するのではなくを固定し、足の裏にあてた移動版をすべらせて計測します。
あおむけに寝ることを「仰臥(ぎょうが)」と言います。
厚生労働省に「仰臥位身長の計測」の図と説明があります。


D 妊娠中の母親の喫煙本数が多いと出生体重は軽くなるが、父親や同居人の喫煙と出生体重との間にも同様の関連がみられる。

→〇
正しい記述です。
厚生労働省によると、「妊婦本人の喫煙が早産や低出生体重・胎児発育遅延のリスクを高めることは、科学的に明らかになっています。妊娠中の喫煙期間が長くなるほど早産のリスクは高まり、喫煙本数が多いほど出生体重や身長を減少させます。」「妊婦本人が喫煙しなくても、まわりの人の喫煙によってたばこの煙にさらされる「受動喫煙」についても、胎児の発育などに悪影響が生じることが知られています。 妊娠中の受動喫煙は、乳幼児突然死症候群(SIDS)の要因であることが確実視されているほか、低出生体重・胎児発育遅延との関連も指摘されています。」と説明されています。


E 出生後に肺呼吸が開始されると、心臓・血管系に、卵円孔やボタロー静脈管の閉鎖などの解剖学的変化が認められる。

→×
記述は合っているようですが、ボタロー管は胎児の大動脈と肺動脈をつなぐ血管ですので、「ボタロー静脈管」ではなく「大動脈管(ボタロー管)」ですね。
静脈管は、アランチウス菅と呼ばれています。

これよりDが〇と考えますが、他に〇がないため、こちらは解なしと考えます。
推測になりますが、「適切な組み合わせを一つ選びなさい」ではなく、もともと「適切なものを一つ選びなさい」といった出題形式だったのかもしれません。
問17と問18のページがあまりにシンプルになってしまうので、あとから出題形式を変えて「組み合わせ」を入れたことで答えがなくなってしまったのでしょうか?

こちらの問題について、皆様の見解はいかがでしょうか?
ご意見等よろしくお願いいたします。