令和5年神奈川県試験「社会的養護」を解説しています。
今回は問9です。
試験問題
 



問9 里親の欠格事由
次の文は、「里親制度運営要綱」(平成29年3月改正 厚生労働省)における、里親の欠格事由に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 成年後見人又は保佐人である者は、里親になることができない。
B 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者は、里親になることができない。
C 「児童福祉法」、「児童買春・児童ポルノ禁止法(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律)」又は「児童福祉法施行令」第35条の5で定める福祉関係法律の規定により罰金の刑に処され、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者は、里親になることができない。
D 児童虐待又は被措置児童等虐待を行った者、その他児童の福祉に関し著しく不適当な行為をした者は、里親になることができない。
(組み合わせ)
  A B C D
1 ○ ○ × ○
2 ○ × ○ ×
3 ○ × × ×
4 × ○ ○ ○
5 × ○ × ○ 

欠格事由とは要求されている資格を欠くことです。
つまり、里親になることができない理由は何かということですね。
ここは学習の穴になりやすいのでしっかりと学んでいきます。

欠格事由は里親制度運営要綱(平成29年改正)の4ページに次のようにあげられています。
ア 成年被後見人又は被保佐人(同居人にあっては除く。)
イ 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者
ウ 法、児童買春・児童ポルノ禁止法(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律)又は政令第35条の5で定める福祉関係法律の規定により罰金の刑に処され、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者
エ 児童虐待又は被措置児童等虐待を行った者その他児童の福祉に関し著しく不適当な行為をした をご参照ください。

一つずつみていきます。

A 成年後見人又は保佐人である者は、里親になることができない。

→×
これはひっかけでしょうか。
成年後見人や保佐人は里親になることができませんが、それらを援助する成年後見人や保佐人は欠格事由に該当しないので里親になることができます。
成年被後見人とは、認知症や知的障害などで判断能力が不十分な人です。
一方、成年後見人とは、判断能力が不十分な人に代わって財産を管理する人です。
家庭裁判所に審判の申立てを行い、家庭裁判所によって、援助者として成年後見人等(成年後見人・保佐人・補助人)が選ばれます。


B 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者は、里親になることができない。

→〇
正しい記述です。
「執行を終わり」とは出所するまでです。
「執行を受けなくなることがなくなるまで」とは、たとえば執行猶予が何年という判決だった場合に、それが取り消されることなくその期間が経過した時をいいます。
それまでは里親になることができません。


C 「児童福祉法」、「児童買春・児童ポルノ禁止法(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律)」又は「児童福祉法施行令」第35条の5で定める福祉関係法律の規定により罰金の刑に処され、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者は、里親になることができない。

→〇
正しい記述です。
たとえば「児童福祉法」に違反した場合、10年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金刑になります。
罰金の納付を終えるまで、または執行猶予が取り消されることなく期間が経過するまでは里親になることができません。


D 児童虐待又は被措置児童等虐待を行った者、その他児童の福祉に関し著しく不適当な行為をした者は、里親になることができない。

→〇
正しい記述です。
BやCでは刑罰を与えられ、それを受けた後(または受けることがなくなったあと)は里親になることができましたが、Dのように児童虐待や被措置児童等虐待を行った場合などでは里親になることができません。


次回は問10を確認します。