令和5年前期試験を解説していきます。
今回は「教育原理」問5です。
試験問題




問5  人物問題
次の記述に該当する人物は誰か。正しいものを一つ選びなさい。

イギリス産業革命期にスコットランドのニュー・ラナークの紡績工場の経営に従事した。この工場での労働者教育の経験から、人間の性格が環境の産物であり、環境を整えることで性格形成が可能であるとの考えをもつに至り、『新社会観』を執筆した。また性格形成学院を開校。彼は、人間の性格形成において幼児期の環境の影響をとりわけ重視し、性格形成学院内に今日の保育所的機能を果たす幼児学校を設け、労働者の子どもを1歳から預かった。

1 ベル(Bell, A.)
2 コメニウス(Comenius, J.A.)
3 オーエン(Owen, R.)
4 ランカスター(Lancaster, J.)
5 ロック(Locke, J.)

人物説明と人物を結びつける問題です。
説明文が長いので、勉強してきたキーワードがこの中に入っているはずです。
「東大王」などのクイズ番組のように、問題文の音声が流れて早押しで答える必要はまったくないのですが、今回の問題では1行目の「イギリスの産業革命期」「スコットランド」「紡績工場」でも、すぐにオーエンと結びついたのではないでしょうか。
「このキーワードといえばあの人だ!」というように、説明文のどこかで答えがひらめくと思います。
複数のキーワードを覚えていると自信を持って答えられますから、人物問題は1人1人の知識を増やしていきたいですね。

今回の問題では「性格形成学院」のキーワードで確実に答えたいです。
性格形成学院とは紡績工場の敷地に創設されたもので、オーエンは「よい性格を形成するには、幼児期からよい環境のもとで育てなければならない」という考えを提唱しました。

オーエンに関する過去問も紹介します。
(オーエンは)イギリスの産業革命期に、自ら経営する紡績工場の敷地内に「性格形成学院」を創設し、代表作である『新社会観』( 1813年 )においては、幼児期における環境の影響の大切さを主張した。
(平成27年地域限定「保育原理」)→〇

オーエン(Owen, R.)は、ドイツに「性格形成学院」を開設し、子どもの保護と教育を行った。
(平成25年「保育原理」)→× ドイツではなくスコットランドです。

(オーエンは)イギリスで、児童労働を規制する工場法の制定に努力した。
(平成25年「児童家庭福祉(現 子ども家庭福祉)」)→〇

主に「保育原理」で登場する人物ですので、「教育原理」での出題は今回が初めてかもしれません。
保育士試験の人物は科目の枠を超えて出題されるため、注意が必要です。

次回は問6を確認します。