令和5年前期試験を解説していきます。
今回は「教育原理」問10です。
試験問題




問10 生徒指導提要
次の文は、「生徒指導提要」(平成 22 年 文部科学省)の一部である。( A )・( B ) にあてはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

特別活動では、多様な集団活動の中で児童生徒にそれぞれに役割を受け持たせ、自己存在感を持た せ、自己の思いを実現する機会を十分に与えるとともに、集団との関係で自己の在り方を自覚させるように指導し、集団の一員としての連帯感や連帯意識、( A )を養うことが大切です。また、社会の一員として生活の充実と向上のために進んで貢献していこうとする社会性の基礎となる態度や行動を身に付け、様々な場面で自己の能力をより良く生かし( B )を図るようにさせることも大切です。
(組み合わせ)
   A    B
1 所属意識 自己実現
2 所属意識 自己覚知
3 責任感  自己実現
4 責任感     自己覚知
5社会的技能 自己実現

生徒指導提要とは、小学校から高等学校までの生徒指導に関する学校・教職員向けの基本書となります。
令和4年12月に改訂されていますが、令和5年前期試験では出題範囲外でしたので、改訂前の平成22年のものが出題されています。
令和5年後期試験以降は改訂されたものが出題されますので、令和4年12月版で学習されてくださいね。

今回は平成22年版の33ページからの出題でした。
「特別活動では、多様な集団活動の中で児童生徒にそれぞれに役割を受け持たせ、自己存在感を持たせ、自己の思いを実現する機会を十分に与えるとともに、集団との関係で自己の在り方を自覚させるように指導し、集団の一員としての連帯感や連帯意識、 (A 責任感)を養うことが大切です。また、社会の一員として生活の充実と向上のために進んで貢献していこうとする社会性の基礎となる態度や行動を身に付け、様々な場面で自己の能力をより良く生かし(B 自己実現)を図るようにさせることも大切です。」

【考え方】
A「集団との関係で自己の在り方を自覚させるように指導し、集団の一員としての連帯感や連帯意識、( A )を養うことが大切です。
ここは「責任感」が入ります。
「所属意識」という言葉が入っても意味が通じるため、ここは難しいですね。
改訂された令和4年版では、「特別活動では、多様な集団活動の中で児童生徒それぞれが役割を受け持 ち、自己存在感を高め、自己の思いを実現する場や機会を十分確保するとともに、集団との関係で自己の在り方を自覚することができるように指導し、集団や社会の形成者としての連帯感や責任感を養うようにすることが大切です。」となっています。


B「様々な場面で自己の能力をより良く生かし( B )を図るようにさせることも大切です。
ここでは「自己実現」が入ります。
生徒が、現在および将来における自己実現を図っていくことができるようにすることが大切です。
一方「自己覚知(じこかくち)」とは、見聞きしたことや体験したことから感じる自分の受け止め方や反応の仕方で自己を認識することです。
福祉の実践で必要な考え方で、援助をする際に、自分の偏見や思い込みをしないように、自分自身の行動や考え方を理解しておくというものです。


問9や問10は、前後の文章を読み、穴に入る適切な言葉を考えていく問題でした。
選択肢を見て、聞いたことのあるキーワードはないか、教育原理ですから「学校」に関したキーワードはないか(保育や福祉の用語ではない)、などとよく考えて答えを選びたいですね。

以上で、令和5年前期の教育原理の解説は終わりです。